東京スキンクリニック

ボトックス®

「表情ジワ」は,シワに垂直に走っている「表情筋」の収縮・短縮によってできるシワのことです。例えば,前頭筋は額のシワ,皺眉筋・鼻根筋は眉間のシワ,眼輪筋はカラスの足跡や他の目の周りのシワをつくります。
表情筋にボツリヌス毒素の注射をすることは,特にソーセージ中毒(十分火が通っていない肉を食べることによって起きる重篤な食中毒)を連想される方には怖く聞こえるかもしれませんが,表情ジワを解消,少なくとも改善するのに極めて安全で簡単な方法です。恐らくボツリヌス毒素よりも米国アラガン社製品の商標名ボトックス®の方がよく知られているでしょう。ボツリヌス毒素には,筋肉の収縮を起こすアセチルコリンという化学物質が神経末端から放出されるのを妨げる作用があります。神経内科では2〜30年もの間チックなどの筋肉痙攣を治療するのに用いられてきました。特定の筋肉に微量のボツリヌス毒素を注射すると,作用が消失するまでその筋肉は何ヵ月もの間動かなくなります。
効果は通常4〜6ヵ月間持続しますが,治療を何回も繰り返すうち「萎縮」といって筋肉の衰えが生じるため,さらに長く続くようになることもあります。前の回の治療効果が完全になくなる前に来院されるのがよいでしょう。3ヵ月以内に繰り返すのも,ボツリヌス毒素に対する抗体ができてこの治療が効かなくなる可能性を高くするので,なるべく避けた方がよいでしょう。
重大な副作用は今まで報告されていません。適切な量を注射すれば表情が失われる心配はありませんが,中には筋肉の動きをより完全に止めてしまうことにより得られる筋肉が弛緩した感覚を好む人もいます。特に額のシワの治療で額が重く感じる,上を見づらい,上瞼のタルミなどの副作用がもっとも出やすいといえます。効果と同様,副作用はどれも一過性です。眉の位置の非対称は,高い側に注射を追加しなければならない場合があります。
一部位に対して数ヵ所の針を刺す必要がありますが,すぐ終わり,我慢できる痛みです。特に目の周りで内出血が現れることがあり,2〜3日から数日で消えます。多少の赤みや腫れが数時間続くことがあります。化粧は翌日からできます。どの処置でもそうですが, 治療後の2〜3週間は紫外線予防が重要です。

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